いわない温泉(北海道)完全ガイド|2つの泉質と源泉かけ流しの魅力を徹底解説
北海道後志地方の岩内町に位置する「いわない温泉」は、ニセコ連峰の最西端・岩内岳の麓に湧く温泉地です。1978年(昭和53年)の開湯以来、源泉100%かけ流しにこだわり続け、天水由来と海水起源という2つの異なる泉質を持つ全国的にも珍しい温泉として知られています。積丹半島を一望できる絶景と、日本海の新鮮な海の幸、そして美肌効果が期待できる良質な温泉が三位一体となった、北海道を代表する温泉リゾートです。
いわない温泉の歴史と開湯の背景
いわない温泉は、ニセコ山系北麓のリゾート開発に伴い1978年に開湯しました。岩内町唯一の温泉として、地域の観光資源として重要な役割を果たしています。円山地区の標高約200メートルの高台に位置し、開湯当初は湯治場としてスタートしましたが、現在では積丹半島観光の拠点として、また札幌やニセコからアクセスしやすい温泉地として多くの観光客に親しまれています。
岩内町は古くから漁業と農業で栄えた港町で、温泉開発によって新たな魅力が加わりました。温泉街からは積丹半島の海岸線が一望でき、特に夕暮れ時の日本海に沈む夕日と、夜のイカ釣り漁船の漁り火が織りなす幻想的な夜景は、北国ならではの旅情を感じさせてくれます。
2つの異なる泉質が湧く希少な温泉
天水由来の炭酸水素塩泉「美肌の湯」
いわない温泉の大きな特徴は、半径500メートル圏内に2つの異なる泉質が湧出していることです。1つ目は天水(雨水や雪解け水)を起源とするナトリウム-炭酸水素塩泉で、「美肌の湯」として知られています。
この炭酸水素塩泉は、ニセコ・後志エリアでは比較的珍しい泉質です。肌の角質を柔らかくし、皮膚の表面を滑らかにする作用があるため、入浴後は肌がすべすべになると評判です。無色透明でさらりとした肌触りが特徴で、女性を中心に高い人気を誇ります。
海水起源の塩化物泉「温まりの湯」
2つ目は海水を起源とするナトリウム-塩化物泉で、高濃度ミネラルを含む「温まりの湯」です。塩分濃度が高いため、入浴後も体がポカポカと温まり、保温効果が長時間持続します。冬の北海道で特にありがたい泉質といえるでしょう。
塩化物泉は皮膚に塩分が付着して汗の蒸発を防ぐため、湯冷めしにくいという特性があります。また、塩分による殺菌作用も期待でき、切り傷や皮膚疾患にも効果があるとされています。茶褐色を帯びた湯色で、海のミネラルを豊富に含んでいることが実感できます。
医学的・化学的調査に基づく効能
いわない温泉では、医学的・化学的な調査が実施されており、現代人の美活(美容活動)・健活(健康活動)に期待できる結果が出ています。炭酸水素塩泉による美肌効果と、塩化物泉による保温・血行促進効果の相乗作用により、心身ともにリフレッシュできる温泉として評価されています。
温泉の効能としては、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進などが挙げられます。
源泉かけ流しにこだわる宿泊施設と入浴施設
いわない高原ホテル
いわない温泉を代表する宿泊施設が「いわない高原ホテル」です。2024年に大浴場および露天風呂をリニューアルし、より快適な入浴環境を提供しています。希少な天然温泉を源泉かけ流しで楽しめるほか、100度のサウナとロウリュ、そして抜群の自然に囲まれた外気浴が人気です。
積丹半島を一望できるロケーションは圧巻で、露天風呂からは四季折々の自然美と日本海の絶景を堪能できます。また、ピカソの版画を所蔵する荒井記念美術館を併設しており、温泉とアートを同時に楽しめる温泉リゾートホテルとして知られています。
客室からも積丹半島の景色を望むことができ、特に夕暮れ時の景観は宿泊者の特権といえるでしょう。食事では地元岩内港で水揚げされた新鮮な海の幸を中心とした料理が提供され、温泉と食の両面で北海道の魅力を満喫できます。
いわない温泉 おかえりなさい
岩内港を望む源泉かけ流しの宿「おかえりなさい」は、アットホームな雰囲気と前浜産の魚介料理が人気の温泉宿です。家族経営ならではの温かいおもてなしと、その日の朝に水揚げされた魚介類を使った料理が自慢です。
特に岩内は「たら」「ほっけ」「いか」などの水揚げで知られる漁港であり、鮮度抜群の海の幸を堪能できます。温泉は源泉100%かけ流しで、2つの泉質を楽しめる浴場を備えています。リーズナブルな料金設定も魅力で、長期滞在や湯治目的の利用者にも人気があります。
その他の宿泊施設と日帰り入浴施設
いわない温泉エリアには、4軒の宿泊施設と1軒の日帰り入浴施設があり、すべての施設で源泉かけ流しの温泉を楽しめます。日帰り入浴施設では、宿泊せずとも気軽に天然温泉を体験できるため、ドライブ途中の立ち寄りや、日帰り温泉旅行にも最適です。
各施設はそれぞれ独自の特色を持ち、料理の内容や浴場の雰囲気、サービス内容が異なります。事前に各施設の情報を確認し、自分の目的や好みに合った施設を選ぶことをおすすめします。
アクセス方法と交通手段
車でのアクセス
いわない温泉へ車でアクセスする場合、札幌方面からは札樽自動車道・小樽ICを利用するのが一般的です。小樽ICから国道5号、国道276号を経由して約75分~90分程度で到着します。距離にして約80キロメートルです。
ニセコ方面からは国道276号経由で約30分、積丹半島方面からは国道229号経由でアクセス可能です。冬季は積雪や路面凍結の可能性があるため、冬用タイヤの装着と十分な時間的余裕を持って移動することが重要です。
公共交通機関でのアクセス
公共交通機関を利用する場合、札幌駅から中央バスの高速岩内号を利用するのが便利です。札幌駅前ターミナルから終点の岩内バスターミナルまで約2時間30分です。岩内バスターミナルからは路線バス円山方面行きに乗り換えるか、15時台の到着に限り宿の送迎サービスを利用できる場合があります。
事前に宿泊施設に送迎の有無や時間を確認しておくことをおすすめします。タクシーを利用する場合は、岩内バスターミナルから温泉街まで約10分程度です。
最寄りの空港と鉄道駅
最寄りの空港は新千歳空港で、空港からレンタカーを利用すると約2時間30分でアクセス可能です。鉄道の場合、最寄り駅はJR函館本線の小樽駅または倶知安駅となり、そこからバスやタクシーに乗り換える必要があります。
積丹半島と岩内町の観光スポット
積丹半島の絶景スポット
いわない温泉を訪れたなら、ぜひ積丹半島の観光も楽しみたいところです。積丹半島は「積丹ブルー」と呼ばれる透明度の高い青い海が有名で、神威岬、島武意海岸、黄金岬などの絶景スポットが点在しています。
特に神威岬は積丹半島のシンボル的存在で、断崖絶壁の先端まで遊歩道が整備されており、雄大な日本海の景色を360度のパノラマで楽しめます。島武意海岸は「日本の渚百選」にも選ばれた美しい海岸で、展望台からの眺めは息をのむ美しさです。
岩内町の文化施設と見どころ
岩内町は実は文化的にも興味深い町です。日本のビール産業の発展に欠かせない原料「ホップ」が日本で初めて発見された地として知られています。また、前述の荒井記念美術館では、ピカソやシャガールなどの名画を鑑賞できます。
岩内港周辺では、朝市や魚市場で新鮮な海産物を購入できるほか、地元の食堂では獲れたての魚介を使った料理を味わえます。特に春から夏にかけてのウニ、秋から冬にかけてのタラやホッケは絶品です。
道の駅たら丸館
国道229号沿いにある「道の駅たら丸館」は、岩内町の観光情報発信基地であり、地元の特産品や海産物を購入できる人気スポットです。レストランでは岩内産の食材を使った料理が楽しめ、温泉の帰りに立ち寄るのに最適です。
いわない温泉周辺のグルメと食材
日本海の新鮮な海の幸
岩内町は日本海に面した漁港町であり、一年を通じて豊富な海の幸が水揚げされます。春はホッケやニシン、夏はウニやアワビ、秋はサケやイクラ、冬はタラやブリなど、四季折々の旬の魚介が楽しめます。
特に岩内産のタラは「岩内たら」としてブランド化されており、身が締まって甘みが強いことで知られています。また、イカ釣り漁船の漁り火が名物でもあり、新鮮なイカ料理も岩内グルメの代表格です。
地元食材を活かした料理
温泉宿では、これらの新鮮な海の幸を中心とした会席料理や海鮮料理が提供されます。刺身、焼き魚、煮付け、鍋料理など、素材の良さを活かしたシンプルな調理法で、魚本来の味を堪能できます。
また、後志地方は農業も盛んで、ジャガイモやアスパラガス、トマトなどの野菜も美味しいことで知られています。海の幸と山の幸、両方を楽しめるのが岩内の食の魅力です。
いわない温泉の楽しみ方とおすすめプラン
日帰り温泉プラン
時間が限られている方には、日帰り温泉プランがおすすめです。札幌から車で約90分、小樽から約60分とアクセスしやすいため、週末のドライブがてら気軽に訪れることができます。
午前中に出発し、昼食は岩内の海鮮料理店で新鮮な海の幸を堪能、午後は温泉でゆっくりと疲れを癒し、夕方には帰路につくという日帰りプランが人気です。時間に余裕があれば、積丹半島の絶景スポットを巡るのも良いでしょう。
1泊2日の温泉旅行プラン
より充実した温泉体験を求めるなら、1泊2日のプランがおすすめです。初日は積丹半島の観光スポットを巡り、夕方にいわない温泉に到着。夕食前と就寝前、翌朝と計3回温泉に入浴することで、2つの泉質の違いをじっくりと体感できます。
夜は積丹半島の夜景とイカ釣り漁船の漁り火を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせます。2日目は朝風呂でリフレッシュした後、岩内町の観光や道の駅でのお土産購入を楽しみ、昼食後に帰路につくプランが理想的です。
連泊・湯治プラン
源泉かけ流しの良質な温泉を持ついわない温泉は、湯治にも適しています。2泊3日以上の連泊プランを用意している宿もあり、じっくりと温泉の効能を体感したい方におすすめです。
連泊することで温泉の美肌効果や保温効果をより実感でき、日常の疲れやストレスから解放されます。リーズナブルな料金設定の宿もあるため、長期滞在でも負担が少ないのが魅力です。
季節ごとの魅力と見どころ
春(4月~6月)
春のいわない温泉では、雪解けとともに新緑が美しい季節を迎えます。岩内岳の山肌が緑に染まり、温泉からの眺めも一層鮮やかになります。この時期はホッケやニシンなど、春の魚が美味しい季節でもあります。
ゴールデンウィーク頃になると積丹半島の観光もベストシーズンを迎え、神威岬などの遊歩道も歩きやすくなります。
夏(7月~9月)
夏は積丹ブルーの海が最も美しい季節です。透明度が高く、晴れた日には息をのむような青い海を見ることができます。ウニ漁が解禁される6月下旬から8月にかけては、新鮮なウニ丼を求めて多くの観光客が訪れます。
夏の夜は日没が遅く、露天風呂から夕日を眺める絶好の機会です。イカ釣り漁船の漁り火も夏から秋にかけて見られます。
秋(10月~11月)
秋は紅葉の季節であり、岩内岳周辺の山々が赤や黄色に色づきます。温泉に浸かりながら紅葉を眺める贅沢な時間を過ごせます。また、秋はサケやイクラ、サンマなど、秋の味覚が豊富な季節でもあります。
気温が下がり始めるため、温泉の温まり効果をより実感できる時期でもあります。
冬(12月~3月)
冬のいわない温泉は、雪景色と温泉のコントラストが美しい季節です。露天風呂で雪見風呂を楽しめるのは北海道ならではの体験です。冬の日本海は荒々しく、波しぶきが上がる迫力ある景色を見ることができます。
タラやブリなど、冬の魚が美味しい季節でもあり、鍋料理が格別です。スキーシーズンには、ニセコでスキーを楽しんだ後に温泉で疲れを癒すという贅沢なプランも人気です。
いわない温泉を訪れる際の注意点とアドバイス
予約と混雑状況
いわない温泉の宿泊施設は規模が比較的小さいため、特に週末や連休、ウニシーズンの夏場は早めの予約が必要です。人気の宿は数ヶ月前から予約が埋まることもあるため、旅行計画が決まったら早めに予約することをおすすめします。
日帰り入浴の場合も、混雑時には入場制限がかかることがあるため、事前に営業時間や混雑状況を確認しておくと安心です。
冬季の運転と服装
冬季に車でアクセスする場合は、必ず冬用タイヤを装着し、吹雪や路面凍結に備えて十分な時間的余裕を持って移動してください。北海道の冬道に慣れていない方は、特に注意が必要です。
服装については、温泉施設内は暖かいですが、屋外は非常に寒くなるため、防寒着を忘れずに持参しましょう。
入浴マナーと温泉の楽しみ方
源泉かけ流しの温泉を守るため、入浴前はしっかりと体を洗い、タオルを湯船に入れないなど、基本的な入浴マナーを守りましょう。2つの異なる泉質を楽しめる施設では、両方の浴槽に入浴して違いを体感することをおすすめします。
長湯は体に負担がかかるため、適度な入浴時間(1回10~15分程度)を心がけ、水分補給をしっかり行いましょう。
まとめ:いわない温泉で心身ともにリフレッシュ
いわない温泉は、天水由来の炭酸水素塩泉と海水起源の塩化物泉という2つの異なる泉質が楽しめる、全国的にも珍しい温泉地です。すべての施設で源泉100%かけ流しの温泉を提供しており、美肌効果と保温効果の両方を実感できます。
積丹半島を一望できる絶景ロケーション、日本海の新鮮な海の幸、そして良質な温泉という三拍子が揃ったいわない温泉は、日帰り温泉から湯治まで、様々なスタイルで楽しめる北海道の隠れた名湯です。札幌や小樽、ニセコからのアクセスも良好で、北海道旅行の立ち寄りスポットとしても最適です。
自然に囲まれた静かな環境で、日常の喧騒を忘れてゆっくりと温泉に浸かり、心身ともにリフレッシュする贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。肌も心も、ととのえる。そんな体験が、いわない温泉では待っています。